実家を相続したが、住む予定はないので、空き家になった。
しかし、空き家を管理する方法が分からない・・・
そんな人は多いのではないでしょうか。
家は人が住まなくなると急速に老朽化します。
空き家は、老朽化を遅らせるために、適切に管理しなければなりません。
日本では近年、空き家が増えて問題になっています。
2015年には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、話題になりました。
今後も空き家は増加していくと予想されますので、空き家の管理について悩む方は増えていくのはないでしょうか。
この記事では、空き家の管理方法について解説していきます。
1.空き家を放置するリスクは?
空き家を放置しておくとどんなリスクがあるでしょうか。
1-1. 固定資産税
物件を所有していると固定資産税がかかります。
毎年1月1日に物件を所有している人が4月から翌年3月までの固定資産税を支払います。
金額は、課税標準額の1.4%ですが、家屋が建ったままで200平方メートル以下の部分は課税標準額が6分の1、200平米メートルを超える部分は課税標準額が3分の1になる、という住宅用地の特例が適用されます。
1-2. 都市計画税
空き家が市街化区域内に立っている場合、都市計画税も支払う必要があります。
固定資産税と同様に、毎年1月1日に物件を所有している人が4月から翌年3月までの都市計画税を支払います。
金額は、課税標準額に都市計画税率(上限0.3%)をかけた金額になります。
また、家屋が建ったままで200平方メートル以下の部分は課税標準額が3分の1、200平米メートルを超える部分は課税標準額が3分の2になる、という住宅用地の特例が適用されます。
1-3. 特定空き家に指定される
空き家を放置しておくと「特定空き家」に指定されてしまう可能性があります。
2015年5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、「空き家法」)」
により、以下のような空き家は特定空き家し指定される可能性があります。
・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態の空き家
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態の空き家
・適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態の空き家
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態の空き家
特定空き家に指定されると
行政より「助言、指導、勧告、命令」といった通告がされます。
厳しさのレベルは助言から命令になるに従い厳しくなり、
勧告を受けると固定資産税と都市計画税の軽減措置が受けられなくなります。
さらに、勧告に従わないと、「命令」が下され、
命令に従わないと50万円の罰金が科されます。
最終的には行政代執行が行われ、建物の取り壊しが行われる場合があります。
解体費用は所有者に請求されますが、解体費用を支払われないと、最終的には
土地が差し押さえれてしまいます。
つまり、空き家を放置しておくと土地まで失ってしまうリスクがあるのです。
1-4. 所有者責任のリスク
空き家の所有者には、所有者責任のリスクがあります。
民法では、建物の倒壊などで建物の設置または保存に問題があった場合、
過失がなくても責任を負わなければならない、ということが定められています。
ブロック塀が崩れて他人が怪我をした場合、
わざとでなくても所有者として責任を負うことになります。
日本では地震や台風などの自然災害が多いため、空き家の所有者は、
気を付けなくてもなりません。
1-5. 火災保険に加入できない
空き家は多くの住宅用火災保険に加入できません。
空き家になっても保険会社はそのことに気付かないのでこちらから連絡しなければ、それまで加入していた火災保険料は請求されます。
火災保険を支払い続けて、もし空き家が火事になっても空き家だったということが判れば保険料は支払われない可能性がありますので、注意してください。
2. どうやって管理する?
空き家を管理するには2つの方法があります。
2-1. 自分で管理する
所有者自身が空き家を管理する方法です。
月に1,2回、空き家へいき、換気や通水などを行います。
自身で管理した方がコストがかからないのですが、物件が自宅から遠い場合は管理が大変です。
2-2. 管理会社へ依頼する
自分で管理するのが面倒、物理的に難しいという場合は管理会社へ依頼するという方法があります。
特に台風や地震があった場合、すぐに空き家の様子を確認できないので、管理会社に依頼した方が便利です。
費用はサービスの内容や頻度により異なりますが、月に1回、換気と掃除で5,000〜10,000円くらいが相場です。
3. 管理方法
実際に自分で管理をする場合、どんなことをすればよいのでしょうか。
やるべきことは、主に以下の5点です。
3-1. 換気(通風)
まずやるべきことは換気(通風)です。
空き家についたら、すべての窓を開けて空気を入れ替えてください。
換気する目的は湿気を防ぐことです。湿気は建物の腐敗を促進し、場合によってはシロアリやカビの原因になります。シロアリやカビが発生すると建物の老朽化は急速に進んでしまいます。
換気は必ず行いましょう。
3-2. 通水
水回りの水道に水を流して、通水を行います。
排水口の下のパイプは水がたまる構造になっています。
これは、悪臭や虫・ネズミなどがパイプから伝わってくるのを防ぐためですが、水が蒸発していまうと匂いや虫が部屋の中に入ってくる恐れがあります。
水道を止めている場合は、ペットボトルやタンクに水を入れて持参するようにしましょう。
3-3. 掃除
部屋の掃除を行います。
電気を止めている場合は、掃除機が使えないのでホウキとちりとりで行います。
庭がある場合は、掃除の他に除草もしましょう。
3-4. 雨漏り確認
室内に雨漏りが発生していないかを確認します。
可能であれば屋根に上り、屋根に異常がないかも確認できればベストです。
3-5. 外壁の確認
ブロック塀が崩れていないか、壁にヒビ割れや破損がないかをチェックします。
また、外に動物のフンが散乱していないかを確認し、あればフン防止グッズなどで対策をしておきましょう。
となりに住んでいる人がいるなら、管理に来た時には挨拶をするとよいでしょう。
親しくなっておけば何かあった時に連絡してくれるかもしれません。
4. 空き家をこれからどうする?
今後、空き家はどのように活用すればよいのでしょうか。
4-1. 他人に賃貸する
空き家を他人に賃貸する、という活用方法です。
空き家を所有していると税金を支払るなど維持費がかかります。
他人にかせば家賃としての収入が得られます。
また、所有者自身で管理する手間もなくなるので有効な方法です。
4-2. 売却する
不要であれば売却する、という選択肢もあります。
空き家は所有しているだけで維持コストがかかります。
空き家を売りたい、と思っている方は多いようですが利便性のよくない場所では借り手が見つからない、という悩みがあるようです。
しかし、所有者の方が思うよりもニーズはあるかもしれません。
本気で売却を考えるのであれば、複数の不動産会社に査定を依頼するなどアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。
4-3. 空き家バンクに登録
空き家バンクとは、空き家の賃貸、売却を希望する人が情報を登録し、賃貸、購入で空き家を探している人とマッチングするサービスです。
自治体が運営し、地域活性化のために定住化を促進する目的で運営されています。
実施していない自治体もありますが、近年は多くの自治体が空き家バンクを導入しています。
5. まとめ
空き家を放置しておくリスクは少なくありません。
特定空き家に指定されないためにも空き家の管理は怠らないようしましょう。
不要であれば思い切って売却も検討してみてください。
近年は空き家バンクなどの精度もあるので、購入したいという人が見つけやすくなっています。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです。