売買契約を締結し、引き渡しが終われば不動産の購入手続きは終了です。
物件探しからの長かった道のりもようやく終わり、ホッとできるのではないでしょうか。
しかし、最後まで気を抜いてはいけません。
引き渡し日当日も注意すべきポイントがいくつかあります。
本記事では、引き渡し日当日に行う事と気を付けるポイントについて解説していきます。
1.引き渡し日に用意するもの
まずは、引き渡し日に用意するものについて解説いたします。
不動産会社が仲介している場合、不動産会社の担当者より用意するものについて案内があるはずですが、中にはすぐに用意できないものもあります。
事前に認識しておけば直前になって焦ることもないと思いますのでしっかりと認識してください。
1-1. 金銭
引き渡し日に支払うお金について紹介します。
・物件代金の残金
物件の購入代金から手付金を引いた残金です。
住宅ローンで支払う場合は、引き渡し日当日にローンを実行し、銀行から融資された金額を売主に支払うので、事前に用意しておく必要はありません。
・固定資産税・都市計画税の精算金
物件の固定資産税、都市計画税、マンションの場合は管理費と修繕積立費の清算金です。
多くの場合、引き渡し日当日までは売主が支払いますが、契約でどちらがいつまで負担するかを変更することができます。買主が負担するケースもあるのでその場合は清算金が必要になります。
・登記費用
引き渡し日には、所有権の移転登記の手続きを行います。
その登記に必要となる費用です。
登記にかかる費用は
「登録免許税」と「司法書士への手数料」の2種類あります。
登録免許税は所有権の移転登記にかかる費用です。
金額は「課税標準 × 税率」で求めます。
売買で土地と建物を購入した場合、税率はそれぞれ2%ですが、
土地に関しては2021年3月末まで1.5%の軽減税率が適用されます。
また、建物も床面先が50m以上など一定の条件をみたせば、
新築は0.15%、中古住宅は0.3%などになる軽減税率が適用されます。
司法書士への手数料は、物件の金額にもよりますが、4-6万円くらいが一般的です。
・不動産会社への仲介手数料の残金
仲介してくれた不動産会社への手数料です。
手数料の金額は物件の金額によりますが、多くの場合は物件代金の3%+6万円(税別)となります。
手数料は一度に全額を支払う必要はなく、2回に分けて支払うのが一般的です。
売買契約時に半額を支払い、引き渡し日当日に残額を支払うので覚えておきましょう。
1-2. 書類
引き渡し日に必要な書類は以下の通りです。
・住民票
所有権移転登記に必要です。
住民票は新しい住所のものが必要になりますので、忘れずに変更しておきましょう。
・印鑑証明書
住宅ローンを利用する場合に必要です。
ほとんどの人が利用するのではないでしょうか。
印鑑証明書とともに実印を持参するのも忘れないようにしましょう。
2.引き渡し日当日の流れ
それでは実際に引き渡し日当日の流れを解説していきます。
場合によっては行う順序は変更になることもありますので認識しておきましょう。
2-1. 物件の最終チェック
購入した物件の最終チェックを行います。
通常、売主と買主、仲介する不動産会社立ち合いのもと物件の最終確認を行います。
設備表などに基づき、契約書の内容と同じ状態になっているか、ドアや窓の開閉は問題がないかなど入念にチェックします。また、隣地との境界線の確認も行います。
物件の最終チェックは登記申請など事務作業後に行う場合や、当日ではなく引き渡しより前の日に行う場合もあります。
また、売主は立ち会わないケースもあります。
2-2. 残代金の支払い
売買代金から手付金以外の金額を売主に支払います。
ほとんどの場合、住宅ローンを組んで支払うことになるでしょう。
そのため、「ローンの実行」を行い、残金を決済します。
残金の決済が行われる場所は、ローンを融資してくれる金融機関や仲介する不動産会社、あるいは司法書士事務所になります。
2-3. 登記申請の依頼
司法書士に必要書類を渡して所有権移転登記を依頼します。
実は、所有権移転登記は自分でもできます。
しかし、自分で行う場合は必要書類をそろえる手間や、会社を休む必要があり、面倒なことが多いです。
また、すみやかに登記しないと所有権が自分のものにならないために売主が物件を担保に借金をするなどのトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
デメリットやリスクを考えるとプロである司法書士に依頼したほうが無難です。
2-4. 税金の清算
固定資産税や都市計画税、またマンションであれば管理費や修繕積立日の清算を行います。
引き渡し日当日までの分は売主が負担することが多いので、その場合は日割り金額を売主が清算します。
2-5.関係書類の引渡し
設備の取扱説明書や保証書などを売主から受け取ります。
定期点検やアフターメンテナンスはいつまで無償で受けられるのか、などは大事ですので受け取ったらチェックしてください。
分量が多い場合は、物件に置いておき、入居後に確認してもらう、というケースもあります。
2-6. 鍵の引渡し
売主より鍵を受け取ります。
鍵は玄関の鍵だけでなく、門扉や建物すべての鍵を受け取ります。
受け取ったら、鍵の受領証に捺印、署名を行います。
2-7. 費用の支払い
司法書士への依頼費用や不動産会社への仲介手数料を支払います。
領収書を受けとることを忘れないでください。
領収書は不動産会社で用意しているケースがほとんどです。
3. チェックすべきポイント
引き渡し時、または引き渡し直後に確認すべきことがあります。
主に以下の点についてチェックしてください。
3-1.鍵は全てそろっているか
買主から受け取った鍵が全てそろっているか確認しましょう。
また、受け取った鍵が確実に使用できるかも確かめる必要があります。
使用可否の確認は引き渡しの現場では確認できないので、
入居後にすみやかに確認しましょう。
3-2. 設備機器類の取扱説明書、保証書はそろっているか
設備機器などの取扱説明書がそろっているかをチェックします。
引き渡し時に気付かなくとも、入居後に気付いたら速やかに確認しましょう。
売主に直接連絡できないケースもあるでしょうから、その場合は仲介してくれた不動産会社へ確認してみましょう。
3-3. 追加・変更工事があった場合、金額負担などが明確になっているか
主に新築の場合に重要です。
住んでみて、不備が発覚した場合などに追加や変更工事が必要な場合、買主が負担するのか施工業者が負担するのか明確にしておきましょう。
ハッキリさせておかないと、入居後は買主に負担になってしまう場合が多いので確認しておく必要があります。
3-4. アフターメンテナンスの連絡先は記載されているか
設備など取扱説明書にアフターメンテナンスの連絡先が記載されているか確認しましょう。
万が一記載がない場合、どこに連絡したらよいかを確認しておきましょう。
3-5. 建築確認申請書の副本、建築検査済証はあるか
建築確認申請書は建物を建てるときにその建築物が建築基準法・条例等の基準を満たしているかのチェックを受けることを目的とた書類です。。
正本・副本2部を作成し、検査機関が確認後に副本が返却されます。
建物完成後は建築主に返却されます。
建築検査済証とは、建築基準法で定められた「建築確認、中間検査、完了検査」の3つがすべて完了し、
建物が法律の基準を満たしていると認定されたときに交付される書類です。
建築完成後は建築主が所有することになっています。
4.まとめ
物件引き渡しの際に気を付けるポイントについて解説しました。
引き渡しが終われば、いよいよ物件はあなたのものとなります。
書類に不備やお金の用意ができないと売主や司法書士、不動産会社など多くの人に迷惑をかけてしまいます。
当日に用意しなければならない書類やお金を忘れないように十分にチェックしましょう。
引き渡しがスムーズにできるように本記事をぜひ、参考にしてください。