媒介契約書の掲載事項とは
媒介契約書にはどのようなことが書かれているのか?
不動産の媒介契約書は、全日本不動産協会などが雛形を提供しており各不動産会社が契約状況に合わせて作成をしていく形になっています。媒介契約書には不動産会社の義務や売り出しの金額や報酬額など重要なことが記載されています。以下では具体的な項目別に記述をしていきます。
1ページ目には
媒介契約書の1ページ目には、専属専任・専任・一般の各媒介契約の説明書きがあります。また媒介契約を承諾する署名捺印欄が設けられています。
成約に向けての義務(専属専任媒介契約の場合)
不動産会社が成約に向けて相手方を探したり契約条件の調整を行います。まず最初に不動産流通機構レインズへの登録を5日以内に行い、広く不動産業者に情報を周知します。また不動産会社は依頼主に対し1週間に1度以上問い合わせ状況の報告をします。ちなみに報告は文書か電子メールを選択することができます。更に申込等があった場合は遅滞なく依頼主に連絡を行います。尚、目的の物件の契約が成立した場合も不動産流通機構レインズに通知をし、宅建業法に基づく情報の提供が行われます。
媒介業務にかかる義務
不動産会社が売却物件の査定価格や売り出し価格について提案をする時は、その根拠を示さなければなりません。また売買が成立するまでの間に宅建業法35条に基づき宅地建物取引士の記名押印をした重要事項の書面の交付と説明義務があります。更に目的物件の契約が成立した時は宅建業法に基づき売買契約書を作成し、宅地建物取引士が当該書面に記名押印したものを交付します。
違約金(専属専任媒介契約の場合)
依頼主が媒介契約を交わした不動産会社以外で売買を成立させた場合は違約金が発生します。更に不動産会社に過失がなく媒介契約が解除された場合、媒介契約の履行の為に要した費用の償還を請求できます。
媒介契約の有効期間
媒介契約の締結後から有効期間が始まります。期間は3か月以内に設定され3か月以上の設定はできません。
約定報酬額
約定報酬額は宅建業法で決められています。また約定報酬額の受領時期も記載されており一般的に受領時期は取引完了後となります。
媒介契約の約款
先述に記載の内容とそれ以外に媒介契約の更新・解除について、反社会勢力の排除について、また約款にない事項でも両者協議の上特約を定めることもできます。更新に関しては両者の合意があればできるものとしています。また契約の解除に関しては、どちらかが契約に定める義務を履行せず相当な期間を経過した場合や不動産会社に落ち度があった場合は解除ができると記載しています。反社会的勢力の排除とは、反社会的勢力に自ら所属していたりすると解除の対象になると記載しています。特約に関しては依頼主に不利な特約は設定されないように決められています。
媒介契約締結時のポイントとは
媒介契約締結時のポイントとは何か?
取引形態は、専属専任媒介契約か一般媒介契約のほぼ2択です。売却初心者は専属専任、それ以外であれば一般媒介を選んでも良いでしょう。
専属専任媒介契約がお勧め
不動産の取引は基本不動産会社に任せた方が安心です。したがって専属専任媒介契約が一番堅実な取引形態となります。不動産会社によっては、専属専任媒介契約にすることで売却活動時にさまざまなサービスを受けられたり、仲介手数料の割引を受けられたりします。買主を探す場合も、不動産業者が抱えている顧客に紹介をしたり消費者向けに積極的に広告をしたりと販売活動も充実します。担当者も専属となるので、売却の相談がしやすかったり内見の希望曜日や時間帯も細かく指定ができたりもします。したがって売却初心者若しくは売却を急いでいる場合は専属専任媒介契約がお勧めです。
一般媒介契約がお勧めの場合
一般媒介契約は過去に何度か売却経験がある場合や、主要駅に近い好立地の場合にお勧めします。売却の経験があれば売却の流れを把握している中で売却活動を進めることができるので、不動産会社からの提案のみにならず要望をすることもできるでしょう。また好立地の場合は相場より高いチャレンジ価格で売り出しをしたり、更に不動産会社間で競争が起こることもあるので早期売買となる可能性もあります。
媒介契約書の中身をチェックする
媒介契約は売却の方針や売却予定期間や売却経験などを踏まえて選んでいくようにしましょう。もちろん契約書に記載してある売り出し価格や有効期間や不動産業者に支払う報酬の金額、売却活動時の不動産業者の義務、契約の更新、違約金、契約の解除なども確認しておきましょう。特に、違約金が発生する場合や媒介契約の解除の要綱、また特約にて不利になる内容が組み込まれていないかを確認し不明な点があれば必ず不動産会社に確認をしましょう。
不動産会社の担当者は信頼をおけるか
査定金額は高すぎていないか、売り出しから売却までのストーリーはしっかりとしているか、万が一売れない場合の対応は万全か、不動産会社の担当は言葉使いや態度は良いかなども媒介契約前にチェックしておきましょう。また媒介契約を取った後に態度を豹変させる不動産会社もあります。大きな金額の取引を始めようとしている前ですので、不動産会社のいいなりで契約を急がずに少しでも違和感があったりしたら契約を見送るなどの判断も必要です。依頼主に寄り添い、依頼主の要望を聞き入れ、依頼主主導で誠実に動いてくれる担当者かも後悔のない売却を進める上では重要なポイントになってきます。
媒介契約と合わせて行う手続きとは
媒介契約と合わせて行う手続きとは?
手続きは主に下記に上げる3点です。
・物件状況等報告書
・設備表の記入
・販売活動承諾書の作成
物件状況等報告書とは
売却物件に関して依頼主が知っている事柄(雨漏り、シロアリ、水漏れなど)を買主に伝える書面です。
設備表とは
売却物件の設備機器に関して、その有無を買主に伝える書面です。また該当する設備機器に関して故障などがある場合も書面に記載します。
販売活動承諾書の作成
販売の方法について不動産会社と相談をして作成します。例えば“近所に知られないように売却をしたい”などです。依頼者の要望に応じて不動産会社も販売方法を提案します。
まとめ
不動産の売却は一生に何度もある事ではないので、専属専任媒介契約がおすすめです。しかし専属専任媒介契約にすることで一部不動産会社による囲い込みの問題もあります。また悪徳な不動産会社も世間にはあるのは事実です。媒介契約の締結も勿論重要ですが前提として信頼をおける不動産会社であるかも重要になります。