不動産売却時に気をつけるべき税金について

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不動産売却時に気をつけるべき税金について

 不動産の売却で利益が出た場合

不動産を購入した価格より高い価格で売却した時、その売却益(=譲渡所得といいます)に税金が掛かります。譲渡所得に対しては、給与所得など他の所得と分離して所得税と住民税が課税されます。

譲渡所得とは

譲渡所得=譲渡収入金額※❶―(取得費※❷+譲渡費用※❸)

※❶譲渡収入金額 ・・ 土地・建物の譲渡代金、固定資産税・都市計画税の精算金

譲渡代金とは契約書に記載された売買代金ですが、その後に値引き等の価格変更があった場合には価格変更後の金額です。また土地売買の場合は、実測精算金があります。土地売買において実測した結果、契約書に記載した面積より実測面積が大きい場合、実測で増加した面積分の精算金です。固定資産税等の精算金とは、年の途中で売買が行われた場合、その年の固定資産税・都市計画税は1月1日所有者である売主に支払い義務があります。一方、引き渡し後の固定資産税等は買主が負担すべきであるとして引き渡し日を起点に売主に対し、買主は引き渡し後の固定資産税等の精算金を払います。この精算金は税務上売買代金となります。

※❷取得費 

実額法→土地建物の購入代金と取得に要した費用を合計した金額から、建物の減価償却費を        

               差し引いた金額

概算法→譲渡収入金額×5%

減価償却費=建物取得費×0.9×償却率×経過年数

※❸譲渡費用 ・・ 売却する為に直接かかった費用 (不動産会社に払う仲介手数料・登記費用・契約時の印紙代・測量に要した費用・建物の解体料 など)

利益が出た時の譲渡所得の特例とは

自宅を売却し譲渡所得で利益が生じた場合、譲渡所得から3,000万円まで控除できるという特例があります。また下記の場合も特例の対象期間となります。

(例) 2010年1月から住まなくなった家の特例対象期間はどのくらいか?

(回答) 2013年12月31日までの売却であれば特例の対象となる

この特例にて控除しきれなかった部分に関しては税金が掛かります。税率は所有期間によって変わります。尚、所有期間は下記のようにカウントをします。

(例)2009年3月15日に購入した家を2014年4月15日に売却をした場合の所有期間はどのくらいになるのか?

通常通りに考えると所有期間は5年1か月となりますが、こちらの場合所有期間としてカウントされるのは2009年3月15日~2014年1月1日となります。1月1日で所有期間をカウントするのがポイントとなります。2014年3月であろうと12月であろうと所有期間の終わりをカウントするのは元旦になります。よって所有期間は、約4年と9か月となります。したがって今回の場合は短期譲渡所得(39.63%)が適用となります。実際の所有期間とはカウントの仕方が違うので要注意です。

税金の計算は以下の公式にて求められます。

課税譲渡所得=譲渡所得ー特別控除額

譲渡所得税=課税譲渡所得×譲渡所得税率(+復興税)・住民税率

こんな時に3,000万円特別控除は使えるのか?

【ケース1】 古い家屋を取り壊して土地のみを売却した場合

下記の条件であれば利用可能です。

①その土地の譲渡に関する契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結される。またそ

    の家に住まなくなった日以後3年を経過する年の12月31日までに譲渡したものである。

②その家屋を取り壊した後、譲渡に関する契約を締結した日まで、駐車場等他の業務の用途

    に供しない事。

【ケース2】敷地の一部を売却した場合

・敷地の譲渡が、自宅として住んでいる不動産の譲渡と同じタイミングの場合は特例の対象

   となる。

10年超所有軽減税率の特例

3,000万円特別控除の適用があり、所有している期間が10年を超えたものである場合、譲渡所得6,000万円までは14.21%と税率が軽減される特例です。譲渡した年の1月1日で家屋と土地の所有期間がともに10年超(取得からお正月を11回迎えたもの)で対象となります。

 

住宅ローン控除と居住用3,000万円特別控除との比較

 

7年前の5月に3,000万円(土地1,500万円、建物1,500万円)で購入したマンションを本年に3,500万円で売却しました。譲渡費用は115万円かかりました。買い替え資産を6,500万円で買いました。自己資金1,000万円、ローン5,500万円(返済期間35年)です。税金で有利になるのはどちらでしょうか?

 

①居住用3,000万円特別控除を適用する場合 

3,500万円-【(3,000万円141万円)+115万円】=526万円<3,000万円なので、税額0円

    譲渡収入              取得価額        減価償却費         譲渡費用

 

○減価償却費の計算

1,500万円×0.9×0.015×8年=141万円

 

②居住用3,000万円特別控除を適用しない場合

526万円×20.315%=106万円 税額106万円(所得税・住民税)

 

③13年間の住宅ローン控除の総額

4,000万円×1%×10(年)=400万円

11年目~13年目 80万円        

13年間で合計480万円の還付金が受けられる

〔回答〕 この場合、①の居住用3,000万円特別控除を使うとお得

不動産売却で損失が出た場合 

不動産売却で損失が出たとき、その損失は給与など他の所得と通算することはできません。しかし例外的にマイホームに関しては譲渡損があったとき、その損失を他の所得と損益通算し、さらに損失がある場合、翌年以降に3年にかけて繰り越しの控除ができます。

居住用財産買い換えの場合の譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除

居住用財産を売却して損失があり、住宅ローンを使うなど居住用の資産を購入した場合に、譲渡損失を給与等その他の所得と通算し、損失に余りがあるときには翌年以降に3年にかけて繰り越し控除できる特例です。

(主な適用要件)

・所得金額が3,000万以下であること

・所有期間が5年を超えている(1月1日時点で)

・買い替え資産には住宅ローンを利用し、年末に償還期間10年超の住宅ローン残高がある

    こと

・登記簿面積が50㎡以上であること

特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除

居住用財産を売却して損失があり、その損失以上の住宅ローンがある場合などの場合に、譲渡損失を給与等その他の所得と通算し、損失に余りなどがあるときには、翌年以降3年間繰り越し控除ができるという特例です。

(主な適用要件)

・所得金額が3,000万以下であること

・所有期間が5年を超えている(1月1日時点で)

・購入資産に住宅ローン適用可

・譲渡の契約前日に住宅ローン残高がある

・買い替え資産に制約なし

空き家の3,000万円特別控除

空き家を相続で取得した場合に、相続の開始から3年を経過する年末までに特定の条件のもと売却ができた場合に適用される。譲渡所得から3,000万円を控除できる特例です。

その他不動産売却時に掛かる税金

印紙代

双方にとって利益がある取引を明確にする文書(契約書・領収書)を作成すると、法的な関係が安定します。印紙税という税金は、そのメリットに対し税金を負担するという趣旨でつくられた税金です。不動産売却時には契約書が作成されますが記載金額に応じた印紙を貼り、割り印をすることで納税が完了します。

消費税

不動産を売却する場合、個人間売買となるので非課税取引となり消費税は掛かりません。しかし不動産仲介会社の仲介手数料には消費税が掛かります。

まとめ 

自宅を売却して利益が出た場合は税金の納付か控除を、損失が出た場合は税金の減免を受けることができます。いずれも特例を受ける為には確定申告をする必要があります。申告をしなかった若しくはうっかり忘れていたという場合は特例が認められません。特例を受けられる場合は確定申告を忘れずに行いましょう。

 

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